大沼浩編著 『荘内地名辞典』 増補改訂第二版 雪山杉荘書房
【あ】 【い】 【う】 【え】 【お】 【か】 【き】 【く】 【け】 【こ】
【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】 【た】 【ち】 【つ】 【て】 【と】
【な】 【に】 【ぬ】 【ね】 【の】 【は】 【ひ】 【ふ】 【へ】 【ほ】
【ま】 【み】 【む め も】 【や】 【ゆ】 【よ】
【ら り れ ろ】 【わ】 付録１（荘内十二地名一覧） 付録２（荘内“ん”脱落地名一覧）
付録３（荘内免地名一覧） 付録４（荘内ツキ（ケヤキ）地名一覧）
【て】
てぐらだ 手蔵田 酒田市
『神社の祭礼の芸能者のための田』
中平田の村で小字、JR砂越駅の北に当たる。手は熟語ではたと読まれたので、もとはたくらだか。たくらだは、愚か者をいう。神社の祭礼で、愚か者に扮して芸をした人のための田と思われるが、手倉森などもあって、てくらの意味ははっきりしない。
でと 出戸 遊佐町
『海岸砂丘から平野に出たところ』
南遊佐の江地の小字であるが、菅里にも同名の小字がある。ともに海岸砂丘の内側に沿う。出戸は入、中に対していわれ、山地や谷に入ったところに対し出たところである。周辺に入、中はないので、海岸砂丘から出たところをいうのであろう。
でばい 出這 遊佐町
『手這（てば）い。手をついて這うような険阻なところ』
瀬の直世の小字で、直世東部の山地にかかるところ。類似の地名に、天這、天拝、手這などがある。手をついて這うような険しい地形の手這を探る。
でばりざか 出張坂 鶴岡市
『出城のある山にかかる坂』
大泉の下清水の鉄工団地付近に、地元で稲荷坂と呼ぶ道があり、所在の稲荷社が古楯山稲荷、その西の小山が豆腐山で、出張城址といわれる。出張は出陣のことで、出張城は、本城に対する前線の出城、砦であろう。その山にかかる坂道である。
でわ 出羽
『出端（いでは）。越の国から出はずれた国』
中央の勢力が越の国まで伸び、８世紀初頭に出羽郡、次いで出羽国が設置された。当時荘内には狄徒と呼ばれる原住民がいたが、以降諸地方からの移民の植民地となった。出羽は越の国から出はずれたところの説を採る。記録された地名は変化しにくいが、いではからでわへと、語頭のi音が落ち、ha音がwa音に変わっている。
てんおうはら 天王原 鶴岡市
『天王社のある原』
小真木原は運動公園から日枝の坂を上がった辺りで、黄金の坂の小字天王原に続く。探検家松浦武四郎の旅行記に、金峰海道畑中天王社が描かれている。これは牛頭天王を祭る小社で、原の名になったが、ほかに合祀されたのであろう。
てんぐすもうとりやま 天狗角力取山 鶴岡市（朝日）
『天狗相撲取場のある山』
八久和川の上流出谷川の奥から上る山で、西川町との境にあり、標高１３７６メートル。山中の草木が生えずいつもきれいな丸い平地を天狗相撲取場というらしく、それがある山であろう。旧同村田麦俣の七ツ滝公園にも、類似地名がある。
てんごうもり 天狗森 鶴岡市（櫛引）
『てんこ森。山頂の森』
天狗を当ててあるが、てんごうはてんこで、頂上のこと。荘内では上を向くことを、てんこふくという。天狗森は黒川の小字で、たらのき代の南にある一番奥の集落である。山の頂上にある森のことであろう。遊佐町蕨岡の山地にも天狗（てんく）森がある。
てんぱくさん 天魄山 鶴岡市（温海）
『天白山。天白神を祭る山』
湯温海からの越路峠の途中から上る、釜谷坂の南にある山。標高２９０．５メートル。釜谷坂の鎮守大天魄神社があったという。天魄は天白のことで、天白神あるいは大天白神は、関東以西に多く見られる土俗神であるが、荘内でも二、三の痕跡がある。
てんぼうぜき 天保堰 鶴岡市（朝日・櫛引）
『天保年間工事の用水路』
湯殿山有料道路の北の品倉山に発し、大網、宝谷の東を流れ、櫛引・黒川で田沢川となる。開削は時代をさかのぼるが、天保３年から９年の工事で完成した。堰は用水路のことである。
てんぽえ 天保恵 鶴岡市
『天保植えの略』
大山の小字で、JR大山駅の西。線路、大山川とその右岸支流に挟まれた地域である。天保（てんぽう）は１８３０〜４４で、この年間に開田され、植え付けが始まったのであろう。恵は植ゑの略。
てんりゅうがわ 天竜川 鶴岡市
『源流の滝が竜にたとえられる川』
小堅小学校や鬼かけ橋の碑のそばを流れ、通称中波渡で日本海に入る小渓流。源流に滝があり、これが天に昇る竜にたとえられたのであろう。
【あ】 【い】 【う】 【え】 【お】 【か】 【き】 【く】 【け】 【こ】
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【ま】 【み】 【む め も】 【や】 【ゆ】 【よ】
【ら り れ ろ】 【わ】 付録１（荘内十二地名一覧） 付録２（荘内“ん”脱落地名一覧）
付録３（荘内免地名一覧） 付録４（荘内ツキ（ケヤキ）地名一覧）
