大沼浩編著 『荘内地名辞典』 増補改訂第二版 雪山杉荘書房

【あ】 【い】 【う】 【え】 【お】  【か】 【き】 【く】 【け】 【こ】
【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】  【た】 【ち】 【つ】 【て】 【と】

【な】 【に】 【ぬ】 【ね】 【の】  【は】 【ひ】 【ふ】 【へ】 【ほ】
【ま】 【み】 【む め も】  【や】 【ゆ】 【よ】

【ら り れ ろ】   【わ】  付録1(荘内十二地名一覧)  付録2(荘内“ん”脱落地名一覧
付録3(荘内免地名一覧)  付録4(荘内ツキ(ケヤキ)地名一覧

【そ】

そうでん 惣田 酒田市
 『惣作り田。村全体が寄って作った田』
新堀の局の小字。一軒の農家が耕作不能になったとき、村全体としてその農地を耕作し、年貢を収める習わしがあった。惣田はそうした、村の惣作りの田であったと思われる。

そうみつる 草見鶴 鶴岡市
 『沢見・鶴巻。弦のように曲がった低湿地』
 市内新形に小字相見(そうみ)があり、青竜寺川の相見橋の名となった。その北茅原に小字草見鶴がある。草見、相見そのほかの類形は、沢見、沢目で、細流のある湿地。また鶴は鶴巻、弦巻で、弦のように曲がった土地。この二つを合わせた地名であろう。

そうりよし 反吉 庄内町(余目)
 『反町・吉田の合成地名。反町は焼き畑起源の地名』
 そうりよしは地形図の読み方で、そりよしともいう。京田川東岸の十六合の村。そうり、そりは、焼き畑に由来するとされる。用水路が開かれる前は、平野部でも林や原野があり、焼き畑が行われていたのであろう。

そえがわ 添川 鶴岡市(藤島)
 『川添いの村』
 東栄の村で、南は羽黒町手向に接する。手向の山地と羽黒山との間の谷に、祓川が流れているが、谷の北が添川であり、川は京田川として平野に出てゆく。添川は川に添う土地、またそこにできた村である。

そえつ 添津 庄内町(立川)
 『山に添うところ』
 津は港で、酒田の津、加茂の津などと使われたが、荘内海岸に津の付く地名はなく、平野部の山に寄って見られる。津は低湿地か、単にところをいうと思われる。添津は狩川の村で、平野を限る山地の窪みにある集落である。

そさかのうえ 曽坂ノ上 遊佐町
 『崖の迫った坂道の上の土地』
 吹浦の鳥海山の山地には、曽坂ノ上、曽崎戸、小野曽の、三つの曽の付く小字がある。曽は岨(そ)、岨はそは、そわで、崖、行き止まりになるような険しい地形と思われる。曽坂は、崖を越えるような険阻な坂道であろう。

そざん 梺山 鶴岡市
 『麓山(ふもとやま)』
 梺は山の麓、山の裾を表す国字である。梺山はふもとやまであるが、そざんと音読みされている。上郷の中沢の小字であるが、由良坂の南の海岸山地のふもと山である。

そでうら 袖浦 酒田市
 『外出(そで)浦。川向こうの外の地である海浜』
 市の最上川河口から浜中までの海浜一帯をいう。昔は赤川も最上川に河口付近で入っていたから、市内から見て、両川の外側の浜辺が、袖浦である。衣の袖のように別れた土地であるが、袖は外出あるいは外手に当てたものであろう。

そなえはたまえ 備畑前 酒田市(平田)
 『村が困窮した農民を救済するために備えた畑の前の土地』
 田沢の南北中野俣の小字で、相沢川から中野俣川が分かれる角の山地をいうようである。隣接して備畑があったのであろう。備田畑といって、困民救済のために村備えの田畑があった。備田もあったらしいが、地名としては残っていない。

そぶた ソブ田 鶴岡市(藤島)
 『さび田。水さびの浮く田』
 藤島川左岸渡前の柳久瀬の小字。そぶは水さびとされる。荘内では、さび地名がそぶ地名よりも多いが、同じ現象をいうのであろう。そぶは祖父、地などと書かれることがある。前者は音、後者は意味に当てている。地中の鉄分が、水に洩れ出したのである。

そりこ 反子 三川町
 『川添いの曲がった田』
 押切新田の小字で、上組に入ると思われる。赤川右岸で、藤島川左岸の土口に並ぶ。一説に両端が反ったソリコ舟があり、またソリコと呼ばれる漁民がいたというが、ここの地名との関連ははっきりしない。反り川田の転訛で、川に添って曲がった田か。

そりだ 雪車田 酒田市(松山)
 『反(そり)田。地形に沿って湾曲した田』
 雪車は、橇(そり)に当てた昔の普通の書き方。そりは反りで、地形通りにつくられた曲がった田が反田で、雪車が当てられた。眺海の森がある山地の北隣西側の雪車田は、内郷上北目の小字である。旧八幡町にも雪車田が二つあるが、いずれも山地である。

そりたてば 雪車立場 鶴岡市(櫛引)
 『そりの発着地点』
 雪車は橇(そり)、立場は休み場であるが、発着所、停留所のことであろう。雪車立場は、山添の西荒屋の小字であるが、位置、起源ともはっきりしない。遊佐町瀬の北目に橇待(そりまち)があり、荘内には篭立場もあったので、雪車、橇は交通手段であったと思われる。


【あ】 【い】 【う】 【え】 【お】  【か】 【き】 【く】 【け】 【こ】
【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】  【た】 【ち】 【つ】 【て】 【と】

【な】 【に】 【ぬ】 【ね】 【の】  【は】 【ひ】 【ふ】 【へ】 【ほ】
【ま】 【み】 【む め も】  【や】 【ゆ】 【よ】

【ら り れ ろ】   【わ】  付録1(荘内十二地名一覧)  付録2(荘内“ん”脱落地名一覧
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