月山の春光まなこ開けられぬ　　工藤博司

　今年は雪は少いものの、三月に入っても気温が低く、そのため低い山ふところにもまだ残雪が見られます。

　月山も雪を厚くかぶり、頂上稜線からはじまる雪解けにも少々時間がかかりそうです。

　四月に入ってからの月山の白光は見事で、全天青空の日などは、目が開けられないほどのまぶしさです。「春光」の季語は、「春の色」「春望(しゆんぼう)」ともいい、冬を脱した太陽のかがやき、またその陽のもとにある景色や風の色などもあらわしています。

　この頃になると、庄内の人々もようやく野に出て、田仕事、畑仕事の準備にかかります。梅が咲きはじめ、桜の開花ももうすぐです。それにしても今年の四月は消費増税がらみで春の喜びも複雑です。めでたさも中ぐらい以下でしょうか。


　（画・加藤貞雄）