何もかも限界柿の木が裸　　工藤博司

　庄内柿といえば名の通った品で、柿団地が多くつくられた。収穫後も剪定など、整備がゆきとどいていたものである。ところが、オレンジ、バナナなどの輸入自由化が進むにつれ、柿畑の荒れが目立つようになった。

　実が付いている間はにぎやかなのだが、それもすっかり落ち尽して、裸になった柿の木が林立している姿は寒々としてさびしい。

　それにも増して、農業をはじめ地域産業の衰退は、一段と少子高齢化をもたらし、山間部に入れば入るほど、あらゆる面で集落の運営とくらしに困難をきたし、限界に直面している。この上に「ＴＰＰ参加」がのしかかれば、村落の消滅になりかねない。それでも、雪に立つ柿の木は、春の芽吹きを準備しているのだが。

　（画・加藤貞雄）