白菜を枯らす風来る日本海　　工藤博司

　やはり羽越線沿線の風景。

　鶴岡市から越後府屋にかけてしばらく日本海に面した集落が続く。

　冬ともなれば、雪まじりの北西の風がようしゃなく襲いかかる。家々は固く戸を閉ざし、屋根に届く高さに冬囲いをする景も見られる。羽越線は、海沿いといいながら、集落より一段高いところを走り、線路の両側には、自給のための野菜畑がわづかに広がる。

　そこには植え捨てられた大根や冬菜の類(たぐい)も見られ、白菜などはもう立ち枯れはじめている。白菜は少々葉が枯れても、その部分を剥げば真新しい姿になるが、痩せたままで畑に残されているのを見ると、この地でのくらしのきびしさを思い、胸がふさがる。

　（画・加藤貞雄）