アフガン髭（ひげ）で井戸掘る日本人が向日葵（ひまわり）　　工藤博司

　この句の「井戸掘る日本人」は医師中村哲さんのことである。氏は、一九八四年、アフガニスタンでハンセン病根絶をめざして、ペシャワール入りしたが、病気の治療もさることながら、民家の貧しさに目を向け、外国勢力の侵略と干ばつで荒廃したくらしを立て直すために、現地の住民と力を合わせて、沢山の井戸を掘って水を確保すると共に、川のはんらんを防ぐ水利事業に取り組み、農地を広げ、村落の再成に貢献している。

　アフガニスタンの人々は氏に深い信頼を寄せている。髭をたくわえた風貌は現地人を思わせ、その活力に充ちた実績はかがやかしい「向日葵」を彷彿とさせる。まさに平和の使徒と言えよう。

　（画・加藤貞雄）