にんにくを吊す隣に古ズボン　　工藤博司

　漢字では、「蒜」、「葫」と書く。

　原産は、中国・東南アジアだが、日本でも古くからおなじみの香味野菜。中国からヨーロッパの料理まで、なくてならない味付けの主役。それもあの強烈な匂いがあってこそ。

　歳時記では、韮(にら)・あさつきと共に春の部に入っているが、もちろん四季を通して用いられる。揚句は、納屋や小屋などに保存用として吊してある景。そばには、農作業や、日常の仕事用の古ズボン、ジャンバー、合羽なども掛けられている。このような平穏な日常を何よりも大切にしたい。それも日本農業があればこそ。

　（画・加藤貞雄）