庄内の自治体の姿がいびつに

町民の会の請願こそ正しい判断

民報藤島2004年12月19日第475号

　12月10日、藤島町議会で「期限に迫られた拙速な合併をしないよう求める請願」を不採択としたことに、加藤鉱一議員は反対討論を述べました（要旨）。

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１、町民自発のものでなく、国からの押しつけ

　平成14年４月23日、庄内市長村議長会で総務省の「市町村合併待ったなし」との講演があり、特例法の期限延長はないとして合併推進の尻をたたかれて始まりました。

２、住民負担が増え、サービス低下が明らか

　合併協定書48項目のうち、「調整する」や「検討する」など先送りされた項目が33項目で７割を占め、国保税や保育料など藤島町の町民の負担が低いものは段階的に引き上げされ、町独自のサービスは段階的に縮小・廃止されることになっています。

３、自治を守る検討がない

　合併しないで今のままで続けた場合の財政シミュレーションは出しましたが、合併しないで「行財政改革を進め」藤島町の自治を守る検討はされませんでした。

　合併しなければやっていけないという意見がありますが、正確に言うのであれば「合併しないで今のままではやっていけない」というのが正しい表現です。

　今のままではやっていけないのですから、藤島町の行財政改革の厳しい検討こそ求められます。

４、鶴岡中心の開発で借金増大

　現行の合併特例法のメリットは特例債です。

　合併による交付税の算定替えは、来年度施行の新合併特例法でも同じように平成26か27年まで保障されるので、新法で合併しても変わりありません。

　特例債返済の時に７割が交付税算入されるといっても、実際には地方交付税の計算式に含めることであって、必ず借金返済の時に７割が戻ってくることではありません。

　国の財政事情で計算どおり交付税を出せないのが実態です。

　また、有利な借金だからと不要不急のハコモノづくりが新市の中心部に集中しますが、建設事業の借金のツケは交付税の算定替えがなくなる合併15年後に大変な事態になることは計算すれば明らかです。

　合併に導いた町長や議員がその時に責任を負うことができますか。

５、藤島町の歴史に幕を引く

　藤島町の50年の歴史、昭和合併前の30年の歴史で、藤島町は常に庄内農業の中心地で、東田川の行政の中心地でした。

　それが合併で初めて周辺部になるのです。

　藤島町の面積の20倍も広い自治体で、市政へのパイプは細くなり、町民の意思は１万２千分の１から15万分の１に、髪の毛のように細くなるのです。
　何よりも自分たちのまちづくりを進める計画と予算を決める議会を失い、藤島町の解散と、周辺部になるという決定ですから、慎重な判断が求められるでしょう。

これまで以上の改革がなぜできない

　合併の必要性については、協定書では前文で「今後の社会・経済の変化や財政事情の逼迫などを考えると、これまでの改革程度では必要なニーズに応えることはほとんど不可能な事態に追い込まれることが危惧されます。」として特例法の諸措置を活用して合併することにしたと書いています。

　これまでの改革程度ということは、今のままではやっていけないということで、これは当然です。

　なぜ、「これまで以上の」改革ができないかは説明がありません。

20倍の広さで自治担えるか

　生活圏が鶴岡市になっているからとのことですが、若者と子供やお年寄りの生活圏は違うし、藤島町の面積の20倍近くも広い６市町村の広さを生活圏にしている人はどれだけいるのか。

　自治体の範囲は行政区域と自治区域の両面でとらえるべきで、住民による自治が20倍の広さで担えるでしょうか。

新合併特例法で

　新しい時代に即した自治体のあり方も、国の地方制度調査会で議論の最中で、財界の提言をバックに道州制の検討などが本格化されるでしょう。

　そのために、新しい合併特例法では、�@市町村合併を強行するため、知事に合併推進の役割を新たに持たせ、�A合併で自治体が広域となることから、法人格を持つ「合併特例区」や地域住民の意見が反映できる「地域自治区」が位置づけられました。

　道州制を考えた場合には、庄内の自治体のあり方をどうするのか、本格的な検討がされなければなりません。

分断された庄内

　庄内が鶴岡市と酒田市とで大きく分断され、どちらにも入れない余目町と立川町が２つで合併し、庄内の中心地にある三川町が単独で、北にある遊佐町が外れるという枠組みは、どう考えても庄内の新しい時代の自治体のあり方として、発展とはいえないでしょう。

　県内では大多数の自治体が今回の合併特例法での合併を見送っているのですから、庄内だけが急ぐ理由はないのです。

検討はこれから

　特例債だけのメリットを求めて期限に迫られた合併を急ぐより、新しい自治体のあり方を合併の本質として捉えるなら、そのために本格的に勉強しようではありませんか。

　国でも本格的な検討はこれからです。

　庄内の自治体、山形県の自治体のあり方を深く検討するため、今回の請願趣旨に示された「期限に迫られた拙速な合併をしない」ということが現在の正しい判断だと考えます。　

自立を目指す三川町議会は14日、議会定数を16から４減らし12にすること、月5000円の政務調査費の廃止を全員賛成で可決しました。

・「期限に迫られた拙速な合併をしないよう求める請願」に対する賛成（不採択とした合併問題特別委員会委員長報告に反対する）討論（2004年12月10日