ＴＰＰ協定を国会で批准しないことを求める請願 賛成討論 （2016.06.30）
日本共産党市議団を代表して、請願第５号「ＴＰＰ協定を国会で批准しないことを求める請願」に賛成討論を申し上げます。
まず初めに指摘しておきたいことは、本請願が付託された産業建設常任委員会では、一度の質疑もなく文字通り「問答無用」で討論・採決に至ったことで、国論が２分し、本市農業にとっても重要な課題となっているＴＰＰに関する請願に対して極めて不誠実な対応だったことです。
本請願は、国会決議に明白に違反しているＴＰＰ協定承認案は撤回し、関連法案を廃案にするよう政府並びに国会に意見書提出を求めるものであります。
ＴＰＰ協定は、本請願で明らかなように、「除外規定が一切存在しないこと」、「付属書で５カ国と関税撤廃に向けた見直し協議を特別に義務づけられていること」「政府も無傷のものは一つもないと発言していること」など、重要５品目などの聖域確保を最優先とした国会決議に違反していることは誰も否定できない事実であります。
ＴＰＰは２００６年の４カ国が発足させた小国同士の自由貿易協定から、アメリカやオーストラリア、カナダなどの大国が加わり12カ国が参加し、あらゆる商品、サービスだけでなく投資や環境、労働、衛生植物検疫、紛争解決、政府調達、知的財産など24分野に広がっています。
反対運動が起こって流産されないよう、交渉は秘密とされ、発効後４年間は交渉過程のテキストは公表しないとされ、国会にも黒塗り文書が出されました。
12カ国交渉と共に２国間協議を平行して行ってきたことから、たとえＴＰＰが流産しても、日米ＦＴＡは残るという周到さです。
ＴＰＰの本質は多国籍大企業がグローバルに儲けをあげていくための徹底した自由化政策です。
ISD条項を盛り込み、多国籍企業の市場参入を規制すれば国を相手に国際紛争処理パネルに訴えることが出来るようにしました。
関税撤廃については農産物は７年後までに見直すとされ、例外品目はありません。
いろいろな規制、食品安全等々について、SPS委員会等の小委員会で多国籍企業の利害関係者も入って議論することになっています。
政府調達についても対象機関と対象金額の拡大も盛り込み、３年以内に、とくに地方自治体の対象拡大をめぐり追加交渉をおこなうことを約束しています。
今は、都道府県と政令市のみが、19億4千万円以上の建設工事、2500万円以上の物品・役務で国際調達を義務づけられていますが、当初のＴＰＰ４カ国では６３０万円以上の物品・役務、６億３千万円以上の建設工事を求めており、一般の市町村にまで拡大するのは目に見えています。
ＴＰＰは今回の協定で終わりではなく、これを推進するＴＰＰ委員会を設け更なる自由化を進めていきます。
国民皆保険制度や単純労働力受け入れを「留保」したとしていますが、「除外」ではないので、今後国の主権、地方自治体の自治権、国民の権利が破壊される協定といえます。
安倍首相は農林水産物の輸出目標１兆円を強調し、「攻めの農業」で誤魔化そうとしています。
しかし実は、その半分が加工食品であり、農産物は１４００億円にすぎず、わずか２割では効果は微々たるものです。
この３年間で、農林水産物輸出額は２９５４億円増え、他方、輸入額は１兆６０３１億円も増え、その結果、輸入額は９兆５２０９億円にもなり、輸出額の約１３倍と輸入が増えるだけというのが現実です。
農産物の自由化は本市に何をもたらしたか。１９９５（平７）年からＷＴＯによるＭＡ米輸入が始まり鶴岡市の農業は崩壊の一途です。
農業センサス調査の１９９５（平７）年から２０１０（平22）年までの15年間で、農家戸数は６８０１戸から４５３８戸に２２６３戸（△33・３％）も減り、農業の雇用の力は失われ人口流出、過疎化、地域衰退が深刻です。
農業産出額は３４０億円から２２１億円に１１９億円（△35・０％）も減り、中間生産物を除いた農業総生産額は２０９億円から１３４億円に75億円（△35・９％）も減少し、地域経済もガタガタです。
米概算金は１万８千円から９千円に半分になり、10㌃所得は９万８千円から４万７千円に半分以下となり、農業から暮らしのお金が生まれません。
２０１５年農業センサスの結果が出れば、この数字はさらに深刻です。
安倍総理が岩盤を破壊すると言って10㌃１万５千円の直接支払が26年産米から半減され、30年産米から廃止され、収入保険制度になっても生産コストを補償できません。
今後、人口減少等で毎年米の消費量が８万㌧づつ減っていくのに、ＴＰＰでは７７万㌧のＭＡ米の別枠で、アメリカとオーストラリアから７．８万㌧輸入するなら、その分備蓄米を増やしても米過剰による米価への影響は避けられません。
それでもＷＴＯがよかったと言えるのか、自民党農政が農業を守ったといえるのか、ＷＴＯよりも格段に強力な自由化であるＴＰＰに賛成なのか。
安倍首相がいくらＴＰＰ対策を講じても、ＴＰＰの撤回以外に農業と国を守る道はないことを強く指摘して、以上、本請願に賛成討論といたします。