コトバ

ホイッティングトン・チャイム　大沼　浩

　ホールクロックが時を告げるのはチャイムです。三種の中にホイッティングトン・チャイムがあります。これは三度(初めの二年を二度とすれば四度)ロンドン市長(ロード・メア)になったリチャード・ホイッティングトン(１３５８？～１４２３)にちなむと思われます。リチャードの通称はデイックです。

　彼は国王ヘンリー五世を饗宴に招き、佳肴(かこう・よい酒のさかな)と称して王の六万ポンドの借用証を焼きました。二世紀後彼に伝説が生じました。

　貧しい田舎の孤児デイックは、ロンドンが金を敷かれていると聞き、運試しに上京しました。飢えた彼を富商サー・フイツウ”アレンが厨房の手伝いに雇いました。コック長に虐待されて逃げ出し、道端の石に腰を掛けると、教会の鐘が聞こえてきました。

　「ターン　アゲン　ホイッティングトン　スライス(三度)　ロード・メア　オブ　ロンドン」(続く)