生の道のり温かく照らした　酒田出身・詩人吉野弘さん

―「しんぶん赤旗」を読んで　青山　崇

　鶴岡は周平始め丸谷才一、佐藤賢一など直木賞・芥川賞作家がいる。酒田はそのような作家は出ないという声も聞かれる。マスコミは文学の中でも小説を多くとり上げ他の分野は後方になる。だから吉野弘さんなどもいい詩を残しながら一般に馴染みが薄い。吉野さんは１月14日88才で亡くなった。鶴岡ゆかりの茨木のり子らと同人誌「櫂」をつくり読売文学賞を受賞し、教科書の「夕焼け」や「祝婚歌」などが代表作である。

　２月11日付しんぶん赤旗が取り上げた。Pippo(ペンネーム)の連載、「心に太陽を くちびるに詩を」である。めい御の結婚祝いに贈ったという祝婚歌をあげている。「二人が睦まじくいるためには ／愚かでいるほうがいい／立派すぎないほうがいい」で始まり、「二人のうちどちらかが／ふざけているほうがいい／ずっこけているほうがいい」、そして「生きているなつかしさに／ふと胸が熱くなる／そんな日があってもいい／なぜ胸があつくなるのか／黙っていても／二人にはわかるのであってほしい 」と結ぶ。「紡がれた詩の言葉たちは、りんとして平明、実直で、私たちひとり一人の歩く厳しい生の道のりを温かく照らす」とぴっぽさんは評す。また18日付同紙「朝の風」も「詩とはなじみのない人の心にも浮かぶ作品をもつ現代詩人」と紹介している。

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