種子島・屋久島（鹿児島県）　　大沼　浩

　大隅半島の種子島は、南北に長く、鉄砲伝来や宇宙センターで知られています。その南端から西に海峡を隔てた屋久島には、スギの原生林があり屋久鹿が住んでいます。

　前に取り上げた内村鑑三は宗教家であるとともに言語学者で、『外国語之研究』の著があります。「第七章　博言学と地名」には、「種子島は蝦夷語の＜タン子＞島にして長島の意なり」「…屋久島あり、是れ同じくアイヌ語にして鹿島の意なり」とあります。これは参考書に挙げる『チャムバーレン氏アイヌ語と地名』に負うのでしょう。

　知里真志保『地名アイヌ語小事典』には「タンネ　長くアル」「ゆク　鹿」とあります。このような南方にアイヌ語というのですが、最近の新聞記事では、血液中のＤＮＡ分析で、北海道のアイヌ民族と沖縄の人たちは遺伝的な特徴が似ているそうです。種子島・屋久島の地名は意味深長です。

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