老野森（おいのもり・天童市）　　大沼　浩

　ＪＲ天童駅から東に行くと温泉街です。倉津川を隔てたその北が市役所などのある中心部で、老野森１，２，３が並び、少し北に老野森があります。天童は昔東の山地から森が延びて、北を周っていたのでしょう。

　おいのもりは宮沢賢治に出てきます。『注文の多い料理店』中の「狼森と笊森、盗森」です。「小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。いちばん南が狼森で、その次が笊森、次は黒坂森、北のはずれは盗森です。漢字にれは盗森です。漢字には皆かなを振ってありますが、森の読み方はオイノもり、ざるもり、くろさかもり、ぬすともりです。狼森には九匹の狼(おおかみ)が住んでいます。小岩井農場は岩手県雫石町ですが、北にこれらの名の森があるかは分かりません。秋田県田沢湖町との境に笊森山があります。

　オイノはオイヌの訛りでオオカミです。オイヌは大犬のことといいます。昔の天童の北の森にはオオカミが出たのです。

---