ケリーさんと藤島、ワッパ騒動　③

青山　崇

民報藤島2012年5月27日第846号

成沢昭信さんの家で雪かきをするケリーさん

　こんな立派な研究をしていたとは知らなかったという成沢ご夫妻は、受け入れるとき食事、風呂などどうしようと母と随分悩んだが、実際は渡前の人たちと変りなくざっくばらん、日本語も達者で心配することはなかった。渡部俊三氏によると「日本語教官と同居し、まるで日本の相撲部屋のような密着会話式の生活」で日本語を習得したという。週に一度校内で古文書解読を指導した前田氏は、それを外から見ていた生徒たちが「せんせえ英語ペラペラなんだな！」（実は日本語）と感心していたというエピソードを話す。

　ケリーさんは律儀な方で、お宅に２度ほど伺ったが、ケネデイ空港まで出迎えてくれ何の心配もなかったし、家族ぐるみの付き合いが今も続いている。陽子夫人はその写真を会場に展示してくれた。渡部俊三氏は、日本語堪能と共に礼儀正しさをあげ、「私の家に最初に宿泊した夜、風呂からあがって浴衣を着、タオルを帯に挟み、<お先にいただきました。お休みなさい>と言ってくれた」と書いている。そして「<良き時代の日本語と礼儀作法>をそのまま身に付けた」人という。

　また頭脳明晰。参考文献を紹介した堀氏は理解・吸収力は素晴らしいと話し、前田氏は、これまでお会いした方で凄い頭を持っていると驚いた人は二人いる、故佐藤幸夫（余目）さんとケリーさんという。