中学社会「あたらしい歴史教科書」に思う

　「民報藤島」第８０６号に「侵略美化の教科書不採択に」の記事があります。私は扶桑社市販本、中学社会「あたらしい歴史教科書」を読みましたが、その感想文です。

　この教科書の古代は、神話に力を入れています。「神々や英雄の物語も、口から口へと伝えられた。」といい、昔の人、ことに文字のない社会の人は記憶力がよく、「日本神話もそうした口承の遺産である。」といいます。

　遺産には受け継がれる財産が必要です。記憶力は耳から入った情報を保存して口から再生します。記憶力は、口承には欠かせませんが受け継がれる財産である物語が作れるでしょうか。それは記憶力とは違った能力です。古代にも藤沢周平のような想像力にすぐれた人がいて、様々な物語を作り出したのでしょう。

　「あたらしい歴史教科書」が記憶力だけを強調して、想像力をいわないのは、日本神話が想像力の産物であることを認めたくないからではないでしょうか。（大沼）