矢筈山（やはずやま・鶴岡市温海地区）　　大沼　浩

　前の本欄「片貝と矢引」で、矢引を矢矧からとし、矧字が矢引となりやびきと読まれるようになったと述べました。

　矢引の方から温海に矢矧山があると知らせていただきました。湯温海から南に山道をたどると４４８メートルの矢矧山で、道は小国の峠ノ山に達します。

　６万分ノ１地形図では別に「はず」、２万５千分ノ１地形図では「はず」と振り仮名をしてありますので、読み方は「やはぎやま」ではなくて「やはずやま」か「やはすやま」です。

　安倍親任・筆濃餘理には、「湯村の矢筈山」とあります。矢矧山・やはずやまが本来の山名です。明治以後に誤記されて矢矧山の表記が定着しが、やはずやまの読み方は残ったのです。

　矢筈は矢の端の弓弦を受ける部分ですが、山名との意味関連は分かりません。字と読みが一致した矢筈山・やはずやまの本来の形に復旧して欲しいものです。

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