東日本大震災ルポ　青山　崇

避難者が語る原発事故②　積もり積もった東京電力不信

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　なぜ「ドーン」という音で指示がないのにみな避難したのか。Ｋさんは、放射能の知識はみんな持っていたので、爆発があった12日夕方、避難区域を半径20㎞圏内に広げたが、もうその前に自主的に30㎞圏外に避難したのだと言う。

　原発稼動以来、みんなには積もり積もった東京電力（以下「東電」）への強い不信感があった。たしかに特別立法で県や市町村に金が降りた。農民は設置工事人夫に出て金が入った。しかし東電は、作業員が被爆しても労災にせ東日本大震災の災害救助事業扱いにし、外部に漏れるのを嫌い隠した。

　Ｓさんも同じことを言う。怪我すると東電の指定病院に行かされる。その病院で充分な治療を受けられず転院したが死んだ人もいる。だから、安全、安全と言っても誰も信用しない。事故後の東電や政府発表も信用できない。Ｓさんの奥さんは怒鳴りたいけれど今はもう情けないねと涙ぐむ。

　奇しくも同市の避難者、鈴木さんが『しんぶん赤旗』で告発している。国は、「危険な情報は隠す」「都合が悪くなると言葉を濁す」「嘘をつき、ばれると訂正する」の繰り返しで翻弄され続けた、と。17日東電が示した事故収束の工程表にも、住民は「東電に疑心暗鬼」「東電・政府信頼できない」としているとマスコミが報じている。