蛇崩（じゃくずし・朝日地区）　大沼　浩

　記録的豪雨が襲い土砂災害が起こる。土石流が惨状を呈します。根岸鎮衛著『耳嚢』「肥後国蠎（うわばみ）の事」につぎのことが書いてあります。「彼が最初に出しあたりは草木も押倒し、土石も崩れ損じける由。」彼、蠎は大蛇のことです。肥後国は熊本県ですが、記事の表現は土石流のようで、昔は大蛇の仕業とでも考えられていたのかもしれません。

　朝日地区大網の七五三掛に地滑りが発生しています。七五三掛は大網の西端の小字で、東端の山地の小字が蛇崩です。土石流が起こりやすい地域かと思われます。

　蛇崩は蛇崩山（じゃくずしやま）が櫛引地区松根にあります。また「じゃくずれ」とも読まれて他の地にもある地名です。温海地区越沢に小字・蛇喰があります。読み方ははっきりしませんが、「じゃばみ」でしょう。蛇崩の類似地名と思われます。