鮨洗（すしあらい・山形市)　　　大沼　浩

　地名にはほとんど使われない字がありますが、鮨もその一つでしょう。鮨を洗うというのも分かりません。

　鮨洗は、山形市北部で山辺町との境にあり、左沢線と東北中央自動車道の交差点西北にある大字です。ほかに河原のつく小字が多いのは、須川の右岸にあるからでしょう。須川は山形市の西を流れて上山市にさかのぼります。そして蔵王温泉辺りからの支流・酢川が加わります。

　須川、酢川は酸性の水が流れる川のことでしょう。すし、酸しはすっぱいということで、酢は鮨には欠かせません。鮨の右の旁(つくり)はうまい、うまです。前に山形市の馬洗場に触れましたが、これは鮨洗の東北に当たります。鮨洗には馬道という小字もあります。鮨洗はもとは「うまあらい」で、須（酢）川の馬洗場ではなかったでしょうか。