中茎（なかぐき・朝日地区大網）　大沼　浩

　中茎は朝日地区大網の小字で、七五三掛の西北、十王峠の道に沿うと思われます。

　小山高等工業専門学校は栃木県小山市中久喜（なかくき・なかぐき）にあります。小山は交通の要衝で、東北新幹線、東北本線が通り、東の水戸線、西の両毛線の終始点です。東北本線の南に埼玉県久喜市がありますから、久喜と中久喜は何かの関連がありそうですがはっきりしません。

　角川日本地名大辞典は、久喜について「久喜はおそらく九木の当て字であり蒔山の意であったという」としています。

　柳田國男・地名研究は「八　九木」の章で、武蔵南埼玉郡九喜町ほか幾つかの久木、釘などが付く地名の例を挙げ、「右等のほか、諸国の小字に存する無数の<クキ>はことごとく燃料採取地を意味する地名であろう。」といいます。角川の薪山はここから来るのかもしれません。

　庄内には櫛引地区板井川に片茎もあります。中、片は位置関係や片側を指しますがはっきりしません。中茎、片茎は燃料採取地でしょうか。大言海によると漏道・くきぢを、くけぢ（間道）といったとし、くきは漏々(くく)の名詞形で、くけぢは間道のこととあります。私はこのことから、抜け道、脇道のあったところではないかと考えています。