村前・西川原・前野（むらまえ・にしがわら・まえの　藤島下町）　青山　崇

　村前は藤島下町、旧清川街道の東側に西川原は西側にあります。前野は藤島川に沿った下町の北端で羽越線を越えて八色木と接しています。

　寛文９年（１６６９）の下町検地帳には46の字名がありましたが統廃合され、現存は前野など８つで西河原・村前はありません。これはつぎのように統廃合されたのでしょう。西川原は検地帳の上川原・下川原・河道淵・鴨が淵・新地米出場などの統合でしょう。

　村前は、とよだ理美容店から阿部久治郎氏宅までの住宅地です。屋敷と関係のある吉之助跡・四兵衛跡・新左エ門跡・松右エ門跡・どうかやしき・いのやしき・寺前・堂の前などを統合したのでしょう。村の前でもないのになぜ村前としたのでしょう。庄内には遊佐町・旧八幡町などに６つあります。ほとんどが住宅地外にあります。この字名は寛文９年以後の江戸時代にできたので、すでに参勤交代が実施され大名が休憩する御茶屋が下町にありました。御茶屋で賑わう村の前あたりということからの命名ではないでしょうか。

　前野は豊栄のすぐ南の水田地帯にもありました。庄内には旧余目町など５つあります。旧余目町も千川原のすぐ西にあります。ここはすなおに村のすぐ近くの地域にちなむと考えてよいようです。