鈴（すず）と黒滝（くろたき）　大沼　浩

民報藤島2006年8月20日第557号

　地名には、公式のものと俗称・慣用地名があります。

　温海の海岸、五十川と暮坪の間に鈴という地域があります。鈴舟出しやバス停名もありますが、俗称です。昔は鈴田でした。

　公式は五十川の小字黒滝です。庄司秀春著『庄内の海岸の地図』に、地域の南の沢（戸田沢川と思われる）に、黒滝の記入があります。この滝の名が拡張して、慣用の鈴を退けて小字になったわけです。

　地元には三重県伊勢市の五十鈴川を分けて五十川と鈴になったという説がありますが、古くは鈴田ですから、清水田（しずた）からと思われます。湧き水のかかる田のことです。

　黒滝は流れ下る岩の面が濡れて黒く映る滝のことでしょう。