大増税計画に反撃する運動を

浦野広明・立正大学教授が講演

民報藤島2005年1月23日第149号

写真：小竹輝弥・山形県商工団体連合会会長

　山形県商工団体連合会（小竹輝弥会長）は18日、政府の大増税計画の本質を見抜き反撃する運動を高めるため学習会を開きました。

　講師は浦野広明・立正大学教授（税理士）です。

　小竹輝弥会長はあいさつで「今年と来年の２年間で、年金保険料引き上げなど負担増が３兆円、定率減税の縮小・廃止など今後計画されているものが４兆円、総額７兆円もの国民負担増が押しつけられようとしている。７兆円負担増、消費税大増税という２段階の負担増計画に反対するたたかい」をよびかけました。

　浦野広明教授の講演の一部を紹介します（文責・編集部）。

☆　　☆　　☆

　今度の税制改悪の突破口になったのが２００３年度改定の「配偶者特別控除の原則廃止」で04（平成16年）分から適用された。

　03年度改定では消費税法の改定により�@免税点の引き下げ�A簡易課税の上限引き下げ�B納付回数の増加�B総額表示などが行われた。

　04年度改定では
�@65歳以上の公的年金等控除の引き下げ（05年から最低額１４０万円から１２０万円に）
�A05年から老年者控除の廃止
�B05・06年度で定率減税の縮小廃止
などが決められた。

　税制改正は１月頃に国会に議案が提案され、何の修正もされず必ず３月31日まで決定する。

　国会に出てから反対しても間に合わないのである。

　この15年間を比較して国税収入は、儲かっている大企業の法人税や高額所得者の減税を進め約20兆円も減る異常さだ。

　逆に低所得者に重い消費税は地方消費税も合わせて13兆円にもなっている。

　日本の消費税は国税収入に占める割合が世界的にもトップ水準だ。

　トヨタは１兆円もの純利益をあげながら、消費税は１円も納めず、逆に１７００億円も還付を受けている。

　03年度の政府予算案では国債費が20％以上も占め、不公平税制を正さない限り財政再建はない。

　大企業にばかり目を向けている政治家を選ばないこと、国民負担増に反対する議員を議会に送ることだ。

国税収入の比較

消費税は89年導入（３％）。1997年に５％へ（うち１％は地方消費税）。
消費税５％＝12兆7050億円。

2003年度政府予算案（一般会計）

各国の税収に占める消費税

永長正士『日本の税制』（平成15年版）財経詳報社、2003年７月

１９８８年の所得税率

現在の所得税率（1999年改定）

税制改正による増収試算（不公平税制をただす会の2005年度試算）

トヨタ自動車の消費税・地方消費税概算計算（2003年分）

・売上高　　９兆円（輸出５．４兆円、国内３．６兆円）

・課税仕入　７兆円

・本来なら９兆円×５％＝4500億円から仕入７兆円×５％＝3500億円の差額1000億円の消費税を納めるべきだが、

・輸出大企業の優遇のため、輸出売上には消費税率０％。

・輸出売上5.4兆円×０％＝０

・国内売上3.6兆円×５％＝1800億円

・1800億円ー課税仕入（７兆円×５％＝3500億円）＝還付1700億円

トヨタは１円も消費税を納めず、逆に1700億円ももらっている。