昭和 30年代頃まで300戸、2000人が暮した山元村は、2023年には 99戸、219人になった
『狸(むじな)森物語 山あいの村の戦後史』(社会評論社)
著者・佐藤藤三郎氏は1935年、山形県上山市狸森(むじなもり)生まれの91歳です。
狸森(むじなもり)は、山形県上山市の北西の端にある山村、旧山元村の一集落です。
急傾斜の畑と田んぼ、山仕事で生きてきた著者が、農業ジャーナリスト・大野和興氏から「戦後80年の農業と農村史」の執筆を勧められて誕生した本です。
著者は中学校で無着成恭と出会い、「山びこ学校」で級長を務めました。
無着成恭は、子どもたちが生活のありのままを作文に書く教育「生活綴方」を実践。生徒43人の詩や作文を収めた学級文集「山びこ学校」が1951年に出版され、ベストセラーになりました。
著者が生まれ育ち住み続ける狸森(むじなもり)は、いま「消滅」しかねない状況にあります。
昭和30年代頃まで300戸、2000人が暮した山元村は、2023年には99戸、219人になり、道路管理など共同生活の維持が困難になりました。
満洲開拓団への送出と敗戦から農地改革、山と炭焼きと焼畑、田んぼと米、青年団活動、うたごえ、村と営農の軌跡が綴られ、農民なら誰もが「自分のことだ」と共感する文章が綴られます。
農業ジャーナリスト・西沢江美子の「解説Ⅰ」と、大野和興氏の「解説Ⅱ」もあります。

佐藤藤三郎著『狸森(むじなもり)物語』社会評論社6月1日発売