ふるさと賛歌 ５　鈴木重雄(八色木)

八栄島村の誕生

　明治22（１８８９）年４月１日、藤島、渡前、東栄、八栄島、長沼の各村が発足した。八栄島村の誕生である。

　新村発足は、用水確保のため３集落一致団結すること、そして日向三右衛門が提供した共有財産の絆の基となった。

歴代村長

　初代　土屋久礼（鶴岡）明治22・７～23・７（有給）

　２代　日向中兵衛（八色木）明治23・８～29・10（名誉職）

　３代　中世古一慶（鶴岡）明治30・７～34・７（有給）

　４代　日向政治（豊栄）明治34・７～38・５（名誉職）

　５代　鈴木五郎吉（八色木）明治38・６～大正６・６（名誉職）

　６代　日向順次郎（豊栄）大正６・６～10・６（名誉職）

　７代　石川米太郎（小中島）大正10・６～14・６（名誉職）

　８代　鈴木五郎吉（八色木）大正14・６～昭和８・２（名誉職）

　９代　渡部弥惣兵衛（渡前）昭和10・６～13・６（有給）

　10代　成田信吉（豊栄）昭和13・６～21・11（有給）

　11代　日向定吉（豊栄）昭和22・４～24・３（有給）

　12代　鈴木孝藏（八色木）昭和24・４～29・３（有給）

　昭和29（１９５４）年12月18日、関係町村議会が合併議決し、新藤島町が誕生した。

村長雑感

　鈴木五郎吉村長（八色木）は、明治38年６月から昭和８年2月まで２度、通算で20年間、村長として村に貢献された。

　特に教育熱心で、東田川郡きっての剛腕で知られた人物であった。

　健康に恵まれていたが、現職で急逝された。享年59歳。私は入学前であったが、延々と続く葬儀の列を、子ども心に覚えている。

　藤沢周平さんが文学の道に進んだ恩師上野元三郎先生を招へいし、自分の家に下宿させた人である。

　五郎吉村長が急逝し、渡部弥惣兵衛村長が就任するまで、２年３カ月村長空席となっている。多分代理を置いたであろう。

　渡部弥惣兵衛村長（渡前）は、私が小学校低学年の頃、学校行事で挨拶されたのを見ている。細身の長身で羽織袴に、八の字の髭をたくわえた立派な人で、悠長な調子でワタナベヤソーベーでござると言っていた。西渡前の故・渡部俊三山形大学名誉教授の家であった。