１９２６（大正15）年、郡制廃止によって、郡営電気事業は、公益性と利益性から東田川郡藤島外27ヵ町村電気事業組合（以後、「電気事業組合」とする）に経営移譲した。
郡会議事堂は組合役場となり、付属倉庫・蔵は、この頃の建築といわれている。
後世の増築部は撤去するという方針のなかで、郡会議事堂北面のこの付属棟は、１９３８（昭和13）年に増築されたものであることは、本紙７月30日号で、当時の新聞を史料として示した。
さらに解体工事によって、付属棟の下見板の納まり状況（下図：『保存修理工事報告書』所収）から、付属棟のものが後のものであることが解ったという。
丁寧に修正し、色は衰えているが、草花の形は本来のものが残り、一定程度、金唐革壁紙に戻している。
このことから、増築部としてこれだけを修理保存することにしたという。
これだけ手をかけた背景には、電気の普及によって、電気事業の評価が急速に高まり、利益を生み、また職員を統括する組合長の地位も高まり、執務室と近辺を威厳のある雰囲気にする必要があったのであろう。
