ひと

日下部勇一（庄内町槇島）　波瀾(乱)万丈の人生　青山　崇

■用地買収で黒い霧、ロッキード事件余目版

　町内に、屋根や外装などのリフォーム工事をする南間製作所の進出計画があった。

　農地の工場用地転用は、法規で厳しく規定されている。ところ１９７７年、わずか半年で転用したのである。

　勇一議員は、故佐藤幸夫さんの教えを守り、農地法・農振法・土地利用計画法をよく調べた。余目警察署は増収賄の疑いで、関係町職員や町議員ら数人から事情聴取した。

　俗に南間問題といわれた。梅木町長は事務手続きに不正はないと答弁していた。ところが、町長は一転答弁を変え、南間問題で、収入役ら８人が警察の事情聴取を受けたことを認めたのである。

　勇一議員は次の事を質した。

　①わずか半年での転用許可について特別の便宜を図ったのではないか。

　②国土利用計画法届出等３つの手続きで許可された。１９７６年10月28日、町社会福祉協議会に、小切手で１００万円の寄付があった。お礼ではないか。誤解を受けるような寄付は受け取るべきでないと追及した。町長は、普通の団体同様の寄付と受け止めていると答弁した。

　③南間製作所は、坪当たり１万３千円支払ったというが、地権者に１万２千円しか渡っていない。合計３００万円の行方がはっきりしない。町長は知っているのかと質したが、存じていないと答弁。

　④農地が工業用地転用などの酒宴の説明会に、同じく１９７６年４月24日の酒宴つき説明会に、なぜ業務命令で職員を出席させたのか。町民は一層の疑惑を持っていると追及した。

　気の緩みで申し訳ないと、そっけない答弁。結局、取り調べや事情を聞かれた町職員は19人、町議ら４人逮捕された。

　事件の全貌を聞いた町民の怒りは激しかった。マスコミも〝工場用地買収で黒い霧〟共産党議員質問。ロッキード事件余目版などと書いた。