街を歩いていくと、頭上を戦闘機が通過し、爆弾を落とす。
戦車が走り、敵の兵士が民家のドアを蹴破って侵入。
街頭で秘密警察が知識人を連行していく。
男の子はポストに向かうものの、不良少年に妨害されます。
男の子は「やめて！」と叫びます。
ひるまず敢然と叫ぶのです。
その気迫に気おされて、不良少年がひるむ間に手紙を投函。
すると、風景は一変するのでした。
警察は市民にやさしくなり、軍隊は市民にプレゼントを贈るのです。
戦車はトラクター役になり畑を耕し、戦闘機は自転車を下ろし、やさしくなった不良少年が男の子をその自転車に乗せてくれる。
男の子が出した手紙は大統領宛で、文面が紹介されます。
「ぼくらの学校にはきちんとした規則があって、突き倒したり殴ったりしてはいけないのに、この国にはそういう規則がないのですか？」という内容です。
（２００９年11月30日発行・徳間書店）
絵本作家デイビッド・マクフェイルが、争いのない未来への願いをこめて描き、柳田邦男氏が表紙絵の強烈さに圧倒されて訳し、13年前に出版された絵本です。
ロシアのウクライナ戦争に、世界中の人たちが心を痛めている今、この絵本が注目されています。
