入秋　　秋(あき)に入(い)る　　城貞（藤の花）

蕭索雨風満嶽河　　蕭索(しょうさく)たる雨風(うふう)　嶽河(がくか)に満(み)つ

暑威消去感秋多　　暑威(しょい)　消去(しょうきょ)して秋(あき)　感(かん)じる多(おお)し

星移物換幾迎歳　　星(ほし)　移(うつ)り物(もの)　換(かわ)り幾(いく)　歳(とし)を迎(むか)う

争奈菊花色褪何 　菊花(きくか)の色(いろ)　褪(あ)せるを奈何(いかん)


ものさびしい秋風が山川に満ちている。

夏の暑さも消え去り秋のけはいがしのびよってきた。

世の中も移り変わりもう幾年の秋を迎えたのであろうか。

寒さに堪えて咲く菊の花も、時が過ぎれば時が過ぎれば色あせて散るのもどうしようもないのだ。


蕭索＝ものさびしい。

嶽＝やま。

暑威＝盛夏。

星移物換＝世の中が移り変わりもう幾年たったことか。

幾＝いくつ。

争＝どうして(反語)。

褪＝花が散る。

奈何＝どうしたらよいか。