山中看百合花　　山中(さんちゅう)に百合花(ひゃくごうか)を看(み)る　　城貞（藤の花）

探花遂暑下谿時　　花(はな)を探(さがし)に暑(しょ)を遂(お)い谿(けい)を下(くだ)る時(とき)

何処幽香百合姿　　何(いず)れの処(とこ)にか幽香(ゆうこう)　百合(ひゃくごう)の姿(すがた)

杉径山行忘路脈　　杉径(さんけい)　山行(さんこう)して路脈(ろみゃく)を忘(わす)れる

先儂己有野人知 　儂(われ)に先(さき)んじて己(すで)に野人(やじん)の知(しる)る有(あ)り


花(ゆり)を探しに　暑さを追い払って　谷を下りていたときに

いずれの所からか　奥ゆかしいユリの香りがしてきた。

ユリはどこにあるのだろうか。

杉の植えてある　山道を歩いていたが(何十年も来なかったので)

路に迷ってしまい　うろうろしていたら　私よりも早くに　もう

何処の人なのか(近所の人か)　ユリの花を探りあてて来ていた。

（ゆりの球根を取りに来たのだろう。）


百合花＝百合の花。

探＝さがし求める。

遂＝追い払う。

谿＝水のない谷。

何処＝どこに。

幽香＝奥ゆかしい香り。

百合＝ユリ。

杉径＝杉の植えてある山の小道。

山行＝山歩き。

忘＝おぼえがなくなる。

路脈＝道筋。

先＝さきだって。

儂＝吾。

己＝とっくに・もう。

野人＝在野人。田舎の人。