田家 其三 田家(でんか) 其の三 城貞(藤の花)
民報藤島2021年06月06日第1302号
耕種時休体曬陽 耕(たがや)し種(う)え時(とき)に休(いこ)う体(たい) 陽(ひ)に曬(さら)す
閑人挈酒酔歌長 閑人(かんじん) 酒(さけ)を挈(ひっさ)げて酔歌(すいか) 長(なが)し
飛鳥艶花千虫処 飛鳥(ひちょう) 艶花(えんか) 千虫(せんちゅう)の処(ところ)
莫恨為農老故郷 恨(うら)む莫(な)れ農(のう)と為(な)りて故郷(こきょう)に老(お)ゆるを
畑を耕し種を蒔き、疲れては休み汗のかいた体を、お日様にあててかわかす。
ひまな人が、明るい内から酒をぶら下げてやって来て、酔っぱらい、ながながと歌う。
空に鳥を見、美しい多くの花が咲き乱れ、たくさんの虫のいる自然の風景のある
この土地で、一農民として一生を終えることを悔んだりはしないのだ。
田家=農家。
曬=日光にあててかわかす。
陽=太陽。休=やすむ。
閑人=ひまな人。
挈=手にぶらさげる。
酔歌=酒に酔って歌う。
飛鳥=大空に飛ぶ鳥。
艶花=色つやのある美しい花。
千虫=多くの虫。
莫=なかれ…するな。
恨=くやむ。
為=…になる。