世界の国々　アメリカ ⑤

トリクルダウンと「団結権保護法案」　青山 崇

　これまで、アメリカの負の面を述べてきたが、今回は、アメリカの変わりつつある面を紹介する。

　アベノミクスを盛んに言いふらした安倍前首相は、今はどう言うのだろうか。

　「企業(富裕層)が儲かれば労働者も潤う」というトリクルダウンは世界中に広まった。

　日本では安倍前首相は自分の姓を合わせて前記のアベノミクスとした。

　バイデン大統領は28日に施政方針演説で、「トリクリダウン経済は決して機能することはなかった。」と述べた。

　その翌日の世論調査会社の発表によると６割超が支持している。

　「米国の富を築いたのは中流階級と労働組合だ」と強調したが、共和党支持者の72％、民主党支持者の83％が「そう思う」と答えている。

　先の号でものべたが、米国の元労働長官が、アメリカ上院の公聴会で、「貧富の格差は労働組合の組織率や力を強めることだ」と公言している。

　この状況をうけて労働組合をつくる権利を強化する「団結権保護法案」が、下院で、19票差で可決され上院で審議されている。

　この法案は、１つ、労働組合結成や団体交渉を行う労働者に報復する雇用主に罰則を科すこと、

　２つ、労組結成の動きに雇用主が妨害、干渉することの禁止が主な内容である。