眺望　其六　　眺望(ちようぼう)　其の六　　城貞（藤の花）

日月不淹春邁秋　　月(じつげつ)　淹(ひさ)しからず春(はる)　邁(すぎ)て秋(あき)

風車弗動見啾澒　　 風車(ふうしゃ)　動(うご)かず啾澒(しゅうこう)を見(み)る

眺望順気蕭蕭改　　眺望(ちょうぼう)　気(き)に順(した)がって蕭蕭(しゅくしゅく)として改(あらた)まり

何処移時独未休　　何(いず)れの処(ところ)か時(とき)を移(うつ)して独(ひと)り未(いま)だ休(やす)まず


月日はあっという間に過ぎさって、春になったかと思えばもう秋だ。

秋空を見ると休むことのない風車が止まっていて、渡り鳥の白鳥が泣きながら飛んでいるのが見える。

景色を見ると天地の自然現象に従って、ものさびしい秋の気配に改まり

あの白鳥どこにいるのか、時間がたっても声だけは止む様子がない。


眺望＝みはらし。

淹＝久しくとどまる。

邁＝過ぎ行く。

啾＝鳥の鳴き声。

澒＝白鳥。

順＝従う。

気＝天地の自然現象。

蕭蕭＝ものさびしいさま。

移時＝しばらくして。