【新連載】

日本百名山・回想の山々① 上町・松田孝一

宮之浦岳・標高１９３５ｍ（鹿児島県・屋久島）

　私が山歩きに魅せられて登山を始めて、かれこれ半世紀以上にもなるのだろうか。

　その間、作家で登山家でもあった深田久弥氏が選定をした日本百名山、二百名山と歩き、最難関の三百名山にも登ることができた。

　私を迎えてくれた山々の頂が目に浮かんでくる。

　深田久弥氏が述べているように、「百の頂に百の喜びあり」、喘ぎ喘ぎ頂上に上って眺めた景色は経験した者にしか味わえないものであろう。

　さて皆さんにはあまり馴染みではないと思うが、百名山の中で最南端にあるのは鹿児島県屋久島にある宮之浦岳である。

　屋久島は周囲約百キロほどの円形で、この島は１９９３年に日本で初めて世界遺産に登録されている。

　登録された理由は、島は日本固有の植物であるスギのすぐれた生育地であって「洋上アルプス」と呼ばれる美しい山々が聳え立っていることと、ひとつの島の中で亜熱帯から冷温帯まで様々な気候が混在していて、北海道から九州までの気候をぜんぶ屋久島の中でみることができる、極めて稀有な自然現象が評価されたからであった。

　島には百名山が聳えているというよりも、樹齢が数千年にも及ぶヤク杉等で知られていると思う。

　私がこの島へ渡ったのは随分前の１９７４（昭和49）年の春、庄内が長い冬から解放されて桜が咲き誇る頃であった。

　当時は未だ庄内空港が無い時であったので、列車で呆れるほどの長い旅であったことが思い出される。

(隔週連載。次回へ続く）

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■松田孝一さんについて

　松田孝一さん（藤島上町・87歳）は、仕事を持ちながらも時間を見つけては山に登り、山を愛してやまないアマチュア登山家であると思います。

　現在、ＮＨＫでアドベンチャーランナーの田中陽気さんが三百名山に挑戦しているのを放映されていますが、松田さんが三百名山を登り終えたのは田中さんより早く日本で８番目だそうです。

　ヨーロッパとアフリカの最高峰、モンブラン（４８１０ｍ）・キリマンジャロ（５８９５ｍ）、その他の海外の山系にも登られ、庄内の山仲間では知られた存在の人です。

（新町・斎藤留治）