世界の国々　ニュージーランド

植民地遺産の銅像撤去　青山 崇

ニュージーランド（ＮＺ） イギリス・オックスフォード大学のセシル・ローズ銅像 プリストルの銅像

　５月25日アメリカ黒人殺害事件をめぐる抗議運動を機に、植民地の遺産を除去する声が世界各地で高まっている。

　イギリス植民地だったニュージーランド（ＮＺ）で12日、ハミルトン市議会は「植民地侵略を露骨に思い出させるものは追放すべきだ」との先住民マオリの要請を受け入れ、征服した司令官ハミルトンの銅像が撤去された（写真）。

　またマオリは、銅像撤去は「正しい方向への一歩」として歓迎するとともに、市名前(地図青印)をマオリ名「キリキリロア」に戻すことも要求している。

　「黒人の命は大事だ」と人種差別反対の声が世界に広がり、銅像のような植民地支配の遺産を取り壊す運動が広がっている。

　19世紀の植民地主義国イギリスの奴隷商人・南アフリカダイヤモンド王であるセシル・ローズ銅像、南アフリカケープタウン大学のものは、すでに２０１５年撤去されたが、イギリス・オックスフォード大学のものは、ロンドン市長が「我々の富の多くが奴隷貿易から得られたのは悲しい真実であり、公共の場で祝われる必要はない」と述べ撤去を示した。

　イギリス南西部のプリストルの銅像は、アメリカ黒人がされたように抗議者が銅像の首に膝を押し付け海に投げ込まれたという（写真下）。

　ニュージーランドはイギリス国王を君主とする立憲君主国で、人口５００万、面積27万㎢(日本の70％ほど)、首都はウエリントンで南太平洋諸国と密接な関係にある。