荘内病院の看護師や院内保育所の保育士の確保が課題
市議会厚生常任委員会がヒアリング
民報藤島2020年02月16日第1237号
鶴岡市議会厚生常任委員会（加藤鉱一委員長）は１月24日、市立荘内病院の看護師不足の問題や、看護専門学校の改築計画について協議会を開きました。
■実働看護師総数は４５２人で19人減
病院当局から説明があり、看護師総数は年間平均４９２人（Ｈ31・４～Ｒ２・１）で、前年と比較し９人減っています。
出産する看護師が前年より10人多く、休暇・休業の合計が月平均40人です。
その結果、実働看護師総数は４５２人で、前年度から19人減少しています。
一方で、多様な働き方の浸透や核家族化に伴い、夜勤免除などの制度活用も増加し、１月現在で59人と前年と比較し20人増え、看護師総数の12％が夜勤免除になっています。
そのため、看護師の夜勤は、基準である「月９回以下」を上回る部署が出ています。
■採用試験を年４回に
看護師確保の対策では、採用試験の回数を、例年１～２回から年４回実施に増やし、募集パンフレットの全国郵送、看護学校や大学への訪問、年２回の学生向け職場説明会を開き、県保健医療大学主催の学生向け病院説明会にも参加しています。
見学会などのインターシップや高校生向けのふれあい看護体験、中高生の職場体験学習、出前講座など、将来に向けた人材確保の取り組みにも力を入れています。
働きやすい職場づくりでも、61人の看護補助者の活用による業務負担軽減にも取り組んでいます。
■手当の割増しは
意見交換では、「職員組合との夜勤協定では月８回以下になっているが」との質問に、「実態としては９回、10回と増えている看護師もいる。昨年と比べ今年が多くなっている」とのことです。
「夜勤回数の多い人に手当の割増しや年次休暇の増などは考えないか」との問に、「米沢市などでは手当を支給している例も一部あるが、当院は人員の配置調整で対応している」「組合との交渉ではそういう要求も出されているが、出していないところがほとんどで、特殊勤務手当との関連もあり慎重に検討したい」「手当割増しより看護師確保を優先したい」と答えました。
「他の民間病院も含めてこの地域の看護師不足をどう把握しているか」との問に、「県が５年ごとに看護師の需給調査をおこない、今年度中に報告が出てくる」と答えました。
■杉の子保育所
荘内病院内には院内保育所（認可外）の「杉の子保育所」が医師公舎内１階に合築して設置されています。
定員は40人で、運営は病院と職員組合、保護者による運営協議会がおこなっています。
職員は保育士が６人、看護師が１人、保育助手２人の計９人で、令和元年度の入所児童数は36人、一時預かり（０、１歳児）２人の計38人です。
令和２年度に新たに入所希望が23人いますが、うち０歳児６人と１歳児５人の計11人が入所予定で、残り12人は市子育て推進課で調整しています。
委員から「入所希望を叶えるには保育士の確保が必要だが、給料など待遇改善が必要ではないか」との問に、「給料は保育所運営協議会で決めるが、据え置いてきた保育料や病院からの補助など検討して決めていきたい」と答えました。
■定員増の検討
市立荘内看護専門学校の定員は20人ですが、定員増については、看護師の需給推計と、出生数に対する進学者数の推計等を踏まえ検討するとしています。
今年度の入学者は定員（20人）を下回る18人で、11月の継灯式に臨んだのは15人でした。
■大学への志向高まる
看護系大学への志向も高まり、その占める割合は平成22年の８・７％から30年には24・７％に増加しています。
国家試験合格者も、大学の占める割合が同23・６％から同36・３％に増加しています。
■荘内病院就職は４人
卒業生の荘内病院への就職率は、平成28年度７人38・３％、29年度７人33・３％、30年度４人26・６％で、県外や他病院への就職者が多くなっています。
■改築スケジュール
改築計画については、国の第２合同庁舎建設に伴う跡地利用構想を見据え、荘内病院の近隣地（税務署跡地及び周辺地）を念頭に、具体的な調査・検討を行うとしています。
事業のスケジュール案は、
○令和元年度：先進地視察（石巻赤十字看護専門学校、気仙沼市立病院付属看護専門学校）
○２年度：事業調査、基本構想・基本計画策定
○３年度：基本設計、実施設計
○５年度：建設工事等
■すべて定員下回る
看護専門学校の改築について、当局は「学校施設が老朽化し、建て替えは急務だが、少子化の影響で入学者が減り定員増は難しい」
「新庄市で看護学校（定員30人）の新設が中止になったが、県は少子化の影響で今後、県内すべての看護師養成校は定員を下回ると述べた」と答えました。
令和２年度入学者の選抜試験合格者は18人（２／６発表）で、２月29日には２次募集の一般入試が行われます。