北満の思い出　　新町・斎藤留治

収容所ノアカジミタ窓ニシミルホド青イ

ポプラ並木ヲ背ニ

黄色イ軍服姿ノ一等兵ノ父ハ

ロシア兵ニピストルヲツキツケラレテ

白イ舗道ヲアルイッテイッタッケ

私服姿ニナッテイタ　父ノ戦友ガ　

オイ　アカホリ

ホチョウヲトレ　オイチ・ニ・サント

涙声デイッタッケ

ボクラヲフリムカズニイッタ父

父ハイマ　シベリアノ雪ヲ　アオイヒゲニジャマサレナガラ

食ベテイルノカシラ　　（作者は不明）

　この詩はＭさんが若い頃、山の学校に勤務していた時に図書館で目にしたものを記録していたのが、幸いにも保管されていたということで私に見せてくれたもの。

　Ｍさんによれば、自分の父親も現在の中国湖南省方面の戦地に送られて苦労をして生き延びることが出来たという。

　そんな話を聞かされていたので、この詩を書き留めておいたのかもしれないと語っていた。

　生前、Ｍさんの父は「退職をしたら中国にお詫びに行きたい。」と語っていたそうだが、病のため夢を果たせずに天国に旅立ってしまったそうである。

　先日、私は東京で行われた中日武術太極拳協会の記念大会に参加する機会を持つことが出来た。

　行事の中に「東京港区帰国者会」による演技があったが、帰国者達の表演からは、中国の養父母に対する感謝と生まれた地（殆ど旧満州）を懐かしむ心が伝わってくるようだった。

　サクラの咲く頃、権力に舞い上がるアベご夫妻にも、心のこもった本当の人達の桜を、「桜を見る会」で見ていただきたいと思うのは皮肉だろうか。

　ＮＨＫの安倍内閣支持率・・これもサクラが多い・・と揶揄されないように！