看花　其九　　花(はな)を看(み)る　其の九　　城貞（藤の花）

百年歓楽幾星霜　 百年(ひゃくねん)の歓楽(かんらく)　幾(いく)　星霜(せいそう)

菊為重陽白与黄　 菊(きく)は重陽(ちょうよう)の為(ため)に白(はく)　黄(こう)　与(と)

満地寒華兼食用　 満地(まんち)の寒華(かんか)　食用(しょくよう)を兼(か)ね

過時馥郁有余香　 時(とき)を過(す)ぎて馥郁(ふくいく)として余(よ)　香(こう)有(あ)り


短い生涯で、歓楽できるのはどれほどだろう。

秋に見る菊の花は、重陽節の為に白や黄色や色とりどりに咲く。

地上一面に咲いている菊は、花を賞でるだけでなく食用にもなる。

盛りを過ぎても、かぐわしい菊の香りは後々まで匂うのだ。


百年＝人の寿命。人生の短いことを言う。

歓楽＝喜び楽しむこと。

星霜＝としつき。

重陽＝陰暦九月九日の節句。中国では菊を酒に浮かべて邪気を払った。九という陽の数が重なるので言う。

馥郁＝よい香りがする様子。

余香＝後まで残る香り。