海外生活回想記⑨

スターバックスコーヒー店の苦い味（前号の続き）　新町　齋藤留治

（前号の続き）

　スターバックスの店に入るとカウンター越しに女性店員が立っていたので、「コーヒー・プリーズ」と頼んだところ「何のコーヒー」ですかと聞き返された。

　当然のように「ブラックコーヒー」と返したが、店員さんには判らなかった。

　まごついていると、後からの客が次々に並ぶようになってしまったので、早く決めなければと私達は焦るばかり。（皆さんにも経験有りますよネ）

　店員さんも困ったのか、壁に貼ってあるメニューを指さしてくれたが、メニューにはBlack Coffeeという文字は見えない。

　困った店員さん（我々はもっと困った）、今度はメニューを読みあげて「早く決めろ」と急かすので、こうなったら何でもいいやと腹を決め、私は「カフェ」という声に反応して「ＯＫ」、受け取ったのはミルクいっぱいで美味かった。

　返事のタイミングが悪かったＭさんには、小さなカップに入った苦ーいコーヒー。

　私は美味いコーヒーだという様な顔をして飲んでいたが、一方のＭさんの「こんなもの飲めるか」の顔に気が付いたのか、女性定員さんがニコニコして座っているテーブルに歩み寄ってきた。

　何か言われるのかと思ったら、彼女曰く、オーストラリアでは英国語が使われているため、私達が頼んだブラックはLong Black、ただのブラックでは通じないという。

　私が飲んでいるのはカフェラテ、ＭさんのはShortブラック（エスプレッソ）という。

　「エスプレッソは苦くて日本人には不向き」であること。

　ついでに言うと、日本流にアイスコーヒーを頼むとアイスクリームコーヒーと間違われるという。

　コーヒーひとつ頼むのも大変、冷や汗をかいた苦ーいひとコマでした。