煙火戯　　煙火戯(えんかぎ)　　城貞（藤の花）

天花無数夕陰開　　　天花(てんか)　無数(むすう)　夕陰(せきいん)に開(ひら)く

星彩飛空聞万雷　　　星彩(せいさい)　空(そら)に飛(と)び万雷(ばんらい)を聞(き)く

煙滅已深人漸散　　　煙(えん)　滅(めつ)し已(すで)に深(ふけ)て人(ひと)漸(ようや)く散(さん)ず

蕭然塘岸自徘徊　　　蕭然(しようぜん)とした塘岸(とうがん)　自(おのず)から徘徊(はいかい)す


暮れてきた天空に、無数の花が咲いた。

いろどりの星くずが空に飛びちり、すさまじい砲声を聞く。

夜も深けて、見物の人もしだいにいなくなった。

（花火も終わり余韻を楽しみながら、人のいなくなった）土手をあてもなくものさびしく歩き回る。


煙火戯＝花火。

夕陰＝夕暮。夕方のくらがり。

星彩＝いろどり。星のきらめく色。花火の散るありさまをいう。

万雷＝多くの雷。転じてすさまじく、とどろく音の形容。

蕭然＝ものさびしい。がらんとしている。

塘岸＝土手。

徘徊＝あてもなく歩き回る。さまよう。