梅雨　　梅雨(ばいう)　　城貞（藤の花）

閑庭新樹緑成陰　　　閑庭(かんてい)の新樹(しんじゆ)　緑陰(みどりいん)を成(な)す

未止霏霏十日霖　　　未(いま)だ止(や)まず霏霏(ひひ)たる十日(じゆうじつ)の霖(りん)

清昼窓前無客訪　　　清昼(せいちゆ)　窓前(そうぜん)　客(かく)の訪(と)う無(な)し

雨声聴尽養詩心　　　雨声(うせい)　聴尽(ききつく)し詩心(ししん)を養(やしな)う


しずかな庭の新芽の出た木々が陽を遮るまでに生い茂り、

長雨がいまだ止まずにひどくふり十日も降り続いている。

しずかなお昼時間には雨がやまず、訪れるお客さんも誰一人としていない。

こんな日は雨音をききながら詩的な心を育てることとしよう。


閑庭＝しずかな庭。

霏霏＝雨や雪がひどくふるさま。雲の飛ぶさま。飛び散るさま。

霖＝三日以上降る雨。

清昼＝しずかなおひる