看花　其七　　花(はな)を看(み)る　其の七　　城貞（藤の花）

長養好風吹草堂　　　長養(ちようよう)の好風(こうふう)　草堂(そどう)に吹(ふ)く

漸開榴蕣滑鳴吭　　　漸(ようや)く榴蕣(りゆうしゆん)　開(ひら)き鳴吭(めいこう)　滑(なめ)らかなり

色饒深浅花争発　　　色(いろ)　饒(あま)す深浅(しんせん)　花(はな)　争(あらそ)い発(ひら)く

雨霽薔薇満院香　　　雨(あめ)　霽(は)れて薔薇(ばら)　満院(まんいん)　香(かんば)し


万物をはぐくむ、気持ちの良い風がそまつな自分の家に吹いた。

だんだん、ザクロとムクゲが咲き、鳥も麗しい鳴き声を響かせている。

ばらの花は色が多く、濃い色、薄い色と我先にと咲きあらそうのだ。

雨が晴れてバラの花が咲き、中庭いっぱいに香りがひろがっている。


長養＝万物をはぐくむ。

好風＝気持ちの良い風。

草堂＝そまつな家。

漸＝だんだん。

榴＝ザクロ。

蕣＝ムクゲ。

吭＝のど。

饒＝色合いがおおい。

深浅＝濃い色と薄い色。

霽＝晴れ。

薔薇＝バラ。

満院＝庭いっぱい。