看花 其六　　花(はな)を看(み)る 其の六　　城貞（藤の花）

韶光行楽是何時　　　韶光(しようこう)　行楽(こうらく)　是(こ)れ何(いず)れの時(とき)ぞ

藤影揺風払檻垂　　　藤影(とうえい)　風(かぜ)に揺(ゆ)れて檻(おぼしま)を払(はら)いて垂(た)れる

忽見数峰青似染　　　忽(たちま)ち見(み)る数峰(すうほう)青(あお)きこと染(そ)むるに似(に)たり

紫花舗地晩春遅　　　紫花(しか)　地(ち)に舗(し)く晩春(ばんしゆん)　遅(おそ)し


春景色の今、楽しみをなさなければ　いつ　すればよいというのだろう。

藤の花は、風に揺らいで欄干を払うように垂れている。

ふと、四方を見やれば山の峰々は、青く染めたようにくっきりと見える。

藤の花が地面に散り始めて、春の日はゆっくり過ぎてゆく。


韶光＝はるけしき。

行楽＝楽しみをなす。

藤影＝ふじ。

檻＝手すり。おばしま、雅語的表現。欄干。

忽＝ふと。

紫花＝藤の花。

舗＝覆う。

晩春＝暮春。