春園(しゆんえん)　城貞（藤の花）

春園　春園(しゆんえん)　城貞（藤の花）

春園日暖気冲融　　　春園(しゆんえん)　日(ひ)暖(あたたか)にして気冲(きちゆう)融(ゆう)たり

穀雨晴時歩宴中　　　穀雨(こくう)晴(は)るる時(とき)　宴中(えんちゆう)を歩(ほ)す

新緑映池花撩乱　　　新緑(しんりよく)　池(いけ)に映(えい)じ花(はな)撩乱(りようらん)す

吹来嫋嫋對東風　　　吹(ふ)き来(きた)る嫋嫋(じようじよう)　東風(とうふう)に對(たい)す


春の庭に太陽がふりそそぎ、暖かな陽気な季節になった。

春雨がやんで庭の中を散歩する。

新しく萌えでた若葉のみどりが池にはえて、花が入り乱れてさいている。

そんななかで吹き始めてきた暖かな春風に向かいあっている。


春園＝春の園。

冲融 ＝和らぐ。

穀雨＝穀物を育てる雨。二十四気の一つ春のおわり。陽暦の四月二十一日頃。

宴中＝庭。

撩乱＝入り乱れるさま。

嫋嫋＝風のそよぐさま。