たしかに最初は、欧米からの解放と独立を強く望んでいたアジアの人々は、日本に大きな期待を持っていた。しかし期待はたちまちくだかれてしまった。
日本軍は、占領地に軍政をしき直接支配し、必要な食糧や石油などを奪い、鉄道建設のために現地の人々「ロームシャ」(今なおインドネシア語として残る)を強制的に働かせた。
また「皇民化」といい、国旗や国歌を禁止し日の丸・君が代を歌わせ、神社を建て参拝を強制した。
アジアの人々は、期待していた日本の、欧米よりをなお酷い支配に反対し、抗日運動に立ち上がった。
自由タイ、シンガポール、マレーのマラヤ人民抗日軍、ベトナムのベトミン(ベトナム独立同盟) などの抗日組織をつくり、抗日運動をアジア全域に広げた。
こうした民衆の力に日本は敗北し、アジア諸国は独立国になっていったのである。
こうして20世紀は、前半は、植民地と戦争の時期であったが、後半は植民地体制が完全に崩壊し、民族自決権が世界の基本原理になった。
私たちはこの世界史的流れをも読み、日本がアジアの植民地を解放したなどという間違った考えにだまされてはならない。
