老生(ろうせい)

　城貞（藤の花）

半生零落巳成翁　　　半生(はんせい)　零落(れいらく)　巳(すで)に翁(おう)と成(な)る

老体近来日日忡　　　老体(ろうたい)　近来(きんらい)　日日(ひび)　忡(うれ)う

八十八年人換尽　　　八十八年(はちじゅうはちねん)　人(ひと)　換(かわ)り尽(つ)くし

不堪幽夢大匆匆　　　堪(た)えず幽夢(ゆうむ)の大(はなは)だ匆匆(そうそう)たり


我が半生は、うだつの上がらぬまま、もはや年老いて

老いの体は、最近日に日に身にましてきて、心配する。

八十八年の間には、人の顔ぶれもかわってきた。

たえられない。ぼんやりとした、夢のような日が

あまりにも、あわただしく過ぎて、しまったことが。

（友人の成澤功さんのことを詠みました）