だまされては遺憾！

ー無謀・無惨なアジア・太平洋戦争②

　餓死した英霊

　青山 崇

　政府は、戦死者を「英霊」と褒めたたえている。

　今年の戦没者追悼式で、安倍首相も英霊の尊い犠牲の上に今日の繁栄があると挨拶していた。

　しかし「英霊」の死の実相はどうだったのだろうか。

　前号に書いたようにこの戦争の軍人・軍属の死者は２３０万人、このうち餓死者がなんと１４０万人、61％という研究がある。いや37％だという研究者もいる。

　しかし、両者とも内外の戦で制空・海権を失って補給が絶たれ、深刻な食糧不足に陥ったからであると言っている。

　栄養失調で40度の高熱が続くマラリアに感染し、体力が消耗しているのに食糧がなく、極度の栄養失調になり、薬も食事も受けつけない状態になって死んでゆく。

　ある軍医は、このような状態を戦争栄養失調症といい、「生ける屍」の如くなり、ついにはロウソクの「火が消えるが如く鬼籍に入る」と記している。

　軍高官も「戦力がマラリアのために、戦力が４分の１に落ちてしまった。いくら増兵してもマラリア患者を作るようなもの」と嘆いている。

　このような状況は、「将兵を飢餓に陥らしめるが如き事は」と天皇の耳にも入っていたほどで、全く異常な中での無謀な戦争だったのである。