昭和も遠く 51

小役人　成澤 功（中町）

　先月６月28日、神戸朝鮮高級学校の生徒62人が北朝鮮への修学旅行から航空機で関西国際空港へ戻ってきた。

　ほとんどの生徒は初めての祖国訪問だ。

　海外旅行から帰国するとき、免税範囲は原則20万円以内。

　学校側は生徒に「沢山のお土産を持ち込むと没収されるから１人２個まで」と指導していた。

　ところが税関で全部没収された。

　確かに日本政府は北朝鮮に対し、制裁措置としてすべての貨物は経済産業省の承認が無い限り輸入を認めていない。

　しかし、子ども達のささやかな「祖国」のお土産まで、杓子定規に取り上げるとはなんと非情な措置か。

　半数は女生徒たちの、北朝鮮の国籍などが描かれた化粧品などが人気だったという。

　北朝鮮ならではの思い出や親族、友達からのプレゼントも含まれているわけです。

　それを目の前で没収され、その非情さに心を引き裂かれて泣きじゃくったという。

　大阪税関も経産省も、現場が官僚的な対応で、私は強く非難したい。

　何と頭でっかちの能無し「木っ端役人」か。

　いま米国と北朝鮮は雪解けムードで、朝鮮半島の北と南、今度は朝鮮と日本の関係改善へと、世界の大きな流れを理解し、大所高所に立って広い判断力が欲しかった。

　敗戦後の我が国の政治、経済を支えた最大の立役者は吉田茂元総理だった。

　マッカーサー司令部の完全な支配下にありながら、朝鮮戦争を契機とした司令部からの再軍備の要請や朝鮮への派兵などの要求をことごとく撥ね付けてきた。

　今その孫世代に位置する自民党総裁の安倍晋三は、何でもかんでも米国のトランプの要求に「イエス、イエス」だ。

　北朝鮮への敵対宣言、トランプの強い要求に応じての高額な兵器買い付けなど、アベ君の目は自国日本よりもトランプへ「ヒラメ」のように上目だけ向いているんじゃないか。