中山道テクテク１人旅 22

千円貸して！　（新町　齋藤留治）

　埼玉県戸田市付近をテクテク歩いていたら一人の中年の男が私に近寄ってきた。

　別に暴力団や路上生活風でもなさそうなので、私はテッキリ道でも聞かれるのかと思った。

　すると「申し分けないが、競艇場で金をすっかりスッて電車賃も無いので千円を貸してくれないか。」という。

　貸しても戻ってはこないし、普通の家庭の親父のようにも見えたので、「奥さんは旦那がこんなになるまでのめり込んでいるのを知っているのだろうか」と思いながら通り過ぎた。

　若い頃こんな事に２、３回出くわした事があって、捨てゼリフを残された事もあった。

　関東を抜けて岐阜までは長閑な山里歩きが続いたが、山里を抜け岐阜の街並みに指しかかるとパチンコ店が目白押しで、「こんなに暇人がいる、俺のようにテクテク歩けば健康にも良いのに。」（これは私の勝手な解釈）と、何日も山猿生活を続けた私には、きらきら光る岐阜の街には馴染めなかった。

　全日本遊戯協同組合連合によると、全国平均でパチンコ台は25から30人に１台あるそうである。

　パチンコ以外にも、冒頭で金をせびられたように競輪、競馬、競艇等、日本には世界に誇れるほど？の公営遊戯が有るのに、アベ政権は世間の批判を無視して、公明党や維新と組んでＩＲ法案（カジノ法）をごり押しをしている。

　国際政治学者の高橋和夫先生によると、アメリカのカジノ王・アデルソンというユダヤ系アメリカ人の金がイスラエルにばら撒かれ、イスラエル軍の兵器購入や入植地の拡大に使われているという。

　シンガポールの「マリーナベイサンズ（３棟の巨大なビルを橋で繋ぐ。）」はこの富豪によって建てられたそうだ。

　「日本でも１兆円を投資する。」と豪語している人によって、同じような物を建てられたら日本人は借金地獄に連れて行かれてしまう。

　アデルソンが日本で儲けた金がイスラエルに送られ、パレスチナの人々から土地を奪い、日本には依存症の土産。

　そんなものを経済成長の目玉だと吹きまくるアベ首相の頭は変だと思うが、かつての貧乏学生を追いかけ回した公明党応援の宗教団体が反対しないのはもっと変だ。