長沼温泉｢ぽっぽの湯｣奮闘記⑪

ラジウム鉱石を大浴槽に　板垣久喜（長沼上新田）

　月１回休館日に浴場の清掃作業を委託していたＧ社長から「良い石がある」と声がかかり導入することにした。

　新潟の阿賀野川流域のラジウム鉱石を26個、重量にして約５００㎏を大浴槽に入れた。

　怪我をされても困ることから、仕切りを付けたりして工面した。

　丁度その頃、台湾旅行で北投(ベイトウ)温泉に行ってきたばかりで、大いに関心があり、まろやか感が増してお客様に効果があればと念じた。

■源泉の混合に工夫

　大浴槽は３号源泉の単純温泉が中心である。

　小さな浴槽は、２号源泉の熱い源泉と、３号源泉のぬるめのものとを混合した。

　当然、外気温によって混合配分が違ってくる。

　露天風呂の湯口からは、純粋な２号源泉の熱くしょっぱいものを投入し、途中から仕切を入れた、ぬるめの露天風呂も提供した。

　効能が良い源泉に加えて、色々考えたつもりであった。

■目安箱の設置

　お客様の声を聞きたいと考え、玄関入口に郵便ポスト風に目安箱を設置した。

　忌憚(きたん)のない意見を求め、即回答し、改善できるものはすぐ解決に努めた。

　毎日楽しみに箱の鍵を解錠した。

　おほめの言葉あり、設備や対応に不満ありで、相当数頂き、回答文は綴って公開した。

　概ね好評価を頂いたものが多かったが、中には理由もなしに「支配人やめろ」との投書もあった。

　何故か聞きたかったが、「間もなく定年なので、もう少し待ってほしい」と回答文に書いた。

■地域に密着して

　ぽっぽの湯は、旧長沼温泉から引き継いだものであり、出来るだけ伝統を継承するよう努めた。

　４月例大祭、７月菖蒲湯、８月温泉盆踊り、12月湯治ゆず湯など。

　地域の皆さんが参加して頂けるよう、４月創業祭、６月庄内柿オーナー募集、７月ビアパーティー、８月ゆかたdeナイト、10月新米まつり、11月収穫感謝祭、12月クリスマスプレゼント、１月屠蘇酒、甘酒サービス、３月雛祭りなど。